· 

病院で

病院の受付で気になった出来事があります。

 

私はその時、病院内のカフェでコーヒーを買い、椅子に座って一息ついていたのです。

 

受付の女性が一人のおばあさんに向かって声をかけていました。

「Aさん、内科の受診の予約はされましたか?」というような質問をしていました。

おばあさんは、よく聞き取れなかったらしく

答えがありません。

受付の女性はさらに高く強い声で、同じ問いかけをしていました。おばあさんは辛うじて「内科はさっき行ってきました」と答えました。

受付の女性は再び「予約はされましたか?」と高い大きな声で質問をします。

おばあさんは耳が少し難聴なのです。そばでそのやり取りを聞いている私も、非常に耳障りな甲高い受付の女性の声と、言葉のキャッチボールが出来ていないその様子に残念な思いをしました。

その場にいた誰もが心地よくは感じてはいなかったでしょう。

 

 医療や高齢者にたずさわる者なら、心得ていて欲しいことがありますので、ここに記しておきましょう。私も常に心がけていることです。

加齢による難聴の特徴は、高い音域の張力から徐々に低下することと、音の聞こえの低下よりもむしろ言葉が聞き取りにくくなるのです。

 話している声は聞こえても、何をいっているか聞き取れなかったり、別の言葉に聞き誤ったりするのです。甲高い声でさらに大きな声を出しても、加齢による難聴の方には聞き取りにくいのです。

 

病院の受付でありながら、患者さんとコミニュケーションがうまく取れないというのはどういうことだろう…。人の聴覚は、大きすぎる音はうるさく不快に感じます。難聴になると、小さな音が聞こえにくくなる一方、特に感音難聴の場合、大きな音に対する感覚は正常耳と同じか、むしろうるさく感じることもあります。

受付の方はあの場合、少し低めの声でハッキリと話をしたならスムーズにおばあさんと会話できたでしょう。